舞台裏のケータリング

ケータリングといわれて、普通の人はどういうものを思い浮かべるのでしょうか。
パーティーや軽い宴会などを会社や家でする時に頼む、簡単なお料理のデリバリーを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし私がケータリングといわれて思い浮かべるものは、そういうものではありません。
私の中では、ケータリングといえば、舞台裏の飲み物や軽いお菓子が並んでいるところを指すのです。

私はお芝居のスタッフの仕事をしていた関係で、いつも舞台裏が仕事場でした。
公演の為に劇場入りすると、いつも時間と戦いながら仕込みなどの作業をしていました。スタッフ達は休憩時間もバラバラで、そもそも休憩自体がほとんどとれなかったりもします。
そのため少しでも休憩がとれると、とにかく水分をとるために一直線ケータリングに向かうのです。
ケータリングで冷たいお茶やコーラを飲んで、ちょっと甘いモノに手を伸ばそうとすると、また直ぐに作業開始、となってしまって、またバタバタと舞台に戻っていきます。
そんな私たちスタッフにとっては、ケータリングは憩いの場であり、仕込み中はとても恋しい場所の一つになるのです。

公演が始まれば、出演者やアーティストへの差し入れから、本人が食べきれない分がケータリングに並んだりします。
普段食べられないような珍しいお菓子を食べることができたりするので、ケータリングに並んだお菓子のチェックが日課になったりします。
有名な女優さんが出ているような公演だと、本当に見たこと無いような物がケータリングに並ぶので、ずっとケータリングの周りをうろうろしている、食いしん坊の若い女子が現れたりするのも、よくあるケータリングの風景です。

しかしこのケータリングも、それを用意する人によって善し悪しが出ます。
余裕のあるカンパニーのケータリングは、お茶からジュースからコーヒー、牛乳まで飲み物は勢揃いし、ちょっとつまめるお菓子もチョコやおせんべい、飴や果物と、気を遣ってくれているのがよく分かるラインナップで並んでいます。
しかし予算が少ないカンパニーのケータリングは、飴とコーヒー、水しかない、なんて事もあります。
他にも、飲み物を飲む用にプラスチックのカップや、または洗える用にそろったコップを用意するカンパニーもありますが、紙コップだけというカンパニーもあります。
良いケータリングと悪いケータリングの差は、そのままそのカンパニーの制作自体の差でもあります。
悪いケータリングは、出演者が劇場入りすると、その場に並ぶお菓子や飲み物が増えたりするのですが、明らかに差別している上に、スタッフの事を軽く見ているんだなと思われて、そのカンパニー自体の印象が悪くなったりもします。

スタッフにも出演者にも気を遣ってくれているケータリングは、こちらも気持ちよく仕事ができます。
ケータリングはスタッフも出演者も通る場所に置かれるので、コミュニケーションの場としてもよく使われる場所になります。
そこに、出演者が劇場入りする前に悪い印象がついてしまったりするのはとても残念なことです。
できるならば、気持ちよく仕事できるケータリングがどの公演にも置かれて、気持ちよく問題なく公演が始まって終われるといいな、と思います。

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